訪日外国人向けのさまざまなサービス向上に急ピッチで取り組む日本ですが、その中で最も注力されているのが多言語化です。主要都市の商業施設や交通機関では、英語、中国語、韓国語の表示やアナウンスが当たり前になり、地方においてもその傾向が見られるようになっています。観光関連のみならず、幅広い分野で翻訳需要が高まり、翻訳者の人材不足が懸念されるまでに至っています。
英語を使う専門職として代表的な翻訳者で活躍するには、今はまさに絶好のチャンスと言えるかもしれません。これから翻訳者を目指す方が翻訳のスキルや能力を習得する方法には、翻訳学校への通学や通信教育、または独学等があります。費用と時間に余裕があり、また目的にもよりますが、最も体系的に翻訳を学習するには翻訳学校への通学がお勧めです。
翻訳学校に通学することによって得られるものは、知識やスキルだけではありません。ここからは、他の学習方法からでは得られにくく、翻訳学校に通学するから習得できることをご紹介していきます。
Contents
翻訳学校とは
翻訳学校と一口に言っても学校ごとにさまざまな特徴があります。比較的大規模な学校であれば通訳と翻訳の2コースに大別して、そこから細かい専門分野を選択できるプログラムを提供しています。
かつては翻訳や通訳と言えば、英和もしくは和英のいずれかが圧倒的でしたが、現在では中国語や韓国語等のアジアの言語での通訳や翻訳の需要が急増するなど、対応言語も多様化しています。
従って、どの言語を使った仕事に就きたいかによっての学校選びも重要でしょう。どの翻訳学校にも共通する特徴の一つは、受講生の大半が「語学力を活かした仕事で活躍したい」という高いキャリア志向をもつ方々で構成されていることです。翻訳者として新たなキャリアを構築したい、既に翻訳者として仕事に従事しているがさらにスキルアップを目指したい、翻訳家として独立したい、等の受講生のニーズに応えるために、各学校とも実践や実務に則した学習内容を、効率的に習得できるプログラムを提供しています。
受講期間は、数週間の短期集中で特定のスキルや知識を習得するものから、ベーシックからアドバンスまでを3年ほどかけて修了するものまであります。受講期間の長いコースを運営する学校の中には、トライアル受講を受け付けているところもありますので、入学判断に活用すると良いでしょう。
多種多様な翻訳学校から最適な学校を選ぶには、まず目的を明確にすることです。ここはと思う学校が見つかったら、是非オープンスクールに参加してみて下さい。学校の雰囲気やカリキュラムをより具体的に知ることができます。
通信制がいいのか、翻訳学校がいいのか?
英語を活かした仕事がしたい、既に翻訳や通訳の仕事に就いているけれども専門分野でのスキキルや知識を深めたい、フリー翻訳者として独立したい、あるいは、以前からあこがれていた翻訳の世界を知りたい等、翻訳を学 ...
翻訳学校でできること
翻訳学校への通学学習だからできることは、下記の4つです。これらは、通信教育や独学では得られない要素です。
1. 実践的な翻訳スキルや知識の習得
翻訳学校では蓄積した情報や実績をもとに実践に則した学習内容を、経験豊かな現役やベテラン翻訳者が講師となって提供しています。翻訳では、対象言語の読解、ライティング、またコミュニケーションのそれぞれのスキルや能力が必要です。講義でこれらを学習する中で、分からない点や疑問点をその場ですぐに質問できる環境が確保されているのが通学学習のメリットです。
自分だけではなく、他の受講者の質問や自分とは異なる翻訳や解釈は大いに勉強になり、2倍の知識を得られます。これらは、通信教育や独学では得ることは難しい要素です。
2. 翻訳者間のネットワーク構築
翻訳学校でできることは、知識やスキルの習得だけではありません。受講を共にする翻訳者や翻訳者を目指す人達との人的ネットワーク構築は、受講中はもちろん、むしろ受講コース修了後に信頼性のある情報収集や情報共有をする上で貴重です。
受講者の中には翻訳会社に就職している人、フリー翻訳者で活躍する人、社内の翻訳部門に所属する人等、翻訳の仕事への取り組み方もさまざまです。翻訳は専門性が重要な仕事ではありますが、異なる分野の現場にいる人からのリアリティに富んだ経験や情報も翻訳の知見を拡げる上では重要で、ネット上や信頼性の低い情報からは得られないものです。
通学での翻訳学校では、積極的に仲間づくりをし、情報交換することをお勧めします。
3. 翻訳業界や市場動向の最新情報
受講生間のネットワーク構築と同様に、翻訳の仕事をする上でのさまざまな情報収集の場として翻訳学校は有効です。翻訳学校の中には翻訳会社が経営母体になっているところもあり、そのような学校は、翻訳の受注実績をもとにして独自に翻訳業界や翻訳市場の最新動向を反映した、翻訳者育成プログラムを提供しています。
より新しく、即戦力として活躍する翻訳者を目指している場合は、“翻訳会社が経営母体”という点に注目した翻訳学校選びをしても良いかもしれません。
4. 就職カウンセリングや仕事紹介
翻訳学校では、修了者や受講者への就職カウンセリングや求人案件の紹介を行うところもあります。学校HPで就業先実績を公開している場合もありますので、学校を選ぶ際に就職に関するサポートを重視したい場合は事前にチェックしましょう。
翻訳会社が運営する翻訳学校の中には、特定のコースを優秀な成績で修了した受講生を翻訳会社の専属翻訳者として採用するところもあります。翻訳案件と翻訳者の需要は高まっていますが、専属翻訳者を雇用できる翻訳会社はまだ少なく、多くは外部のフリー翻訳者との契約雇用が中心です。
翻訳会社所属の翻訳者として安定した就業を希望する方は、そのような学校を選択すると良いでしょう。