近頃、アンケートや調査票の翻訳依頼が増えているようです。
え、どうしてアンケートの翻訳が必要なの?と意外に思うかもしれませんね。
アンケート翻訳案件増加の背景の一つには、外国人観光客、外国人居住者や外国人社員などから満足度や意見を聞き、より良いサービス提供や環境づくりにいかしたい、という訪日外国人に対する企業や自治体による取り組みがあるようです。
また、海外進出を目指す企業やECサイトを運営する個人事業主が、マーケティング目的で進出予定の現地語に訳したアンケートを実施するケースも増えています。
大企業に限らず小さな個人事業でも、インターネットを利用することで海外進出のチャンスが広がっています。サービスや商品についての情報を現地の言語に翻訳して提供するのは、当たり前の世の中です。アンケートの翻訳が必要なのは、当然の流れかもしれません。
多くの人に協力してもらえてこそのアンケートですが、そのために必要なことは何でしょう?特に、日本人ではなく海外の人たちを対象とするアンケートでは、どんな点を工夫すべきだと思いますか?ここからは、外国人に向けてアンケートを実施するために、その翻訳を外注する上で気をつけたいポイントをご紹介します。
翻訳者にはマーケティング分野での経験者を選ぶ
翻訳会社に案件を依頼する時には、マーケティング分野での経験や知識のある翻訳者が担当するようにリクエストしましょう。
他の翻訳案件と同様に、アンケートや調査票の翻訳でも、やはり専門知識と実務経験は不可欠です。知りたい情報を収集するためのアンケートの質問文で重要なのは、まず簡潔であること。長文の質問は、見ただけでうんざりして、アンケートに協力する気になりません。
また、質問内容が分かり易いことも大事です。誰が読んでも同じように理解される内容でなければ、選択肢の中から正しい回答を選んでもらえず、結果的にあまり信用できないアンケートになってしまいます。
経験不足の翻訳者が英訳すると、元の和文に比べて英文が長くなりがち。日本語で書かれたアンケートの原文をきちんと理解し、簡潔で分かり易い英語に置き換えるには、やはり経験と知識が必要です。アンケートや調査票の翻訳を依頼する時には、その点をハッキリと翻訳コーディネーターに伝えましょう。
アンケート対象はどんな人?アンケートの目的を伝える
どんな翻訳案件でも、翻訳の質を上げるためには、原稿を翻訳会社に渡すだけでなく、原稿の使用目的等の関連情報を翻訳コーディネーターや翻訳者に提供することが大切です。
アンケートの翻訳であれば、どんな人たちを対象にしたアンケートかという情報は特に重要。例えば、専門家や経験者を対象にしたアンケートであれば、それに相応しい専門用語や言い回しを使った翻訳文にすべきです。
また、例えば若い人たちを対象に、比較的気軽に、短時間で回答してもらうようなアンケートであれば、若い年齢層で一般的に使われている言葉や表現方法を選んで翻訳すべきで、それによって質問内容も正しく、また興味をもって読んでもらうことができるでしょう。
誰を対象にしたアンケートであるか?その情報は、翻訳作業の進め方以前に、適切な翻訳者を選ぶ上でも重要な情報ですし、専門性が極めて高い調査であればネイティブチェックを加えた方が良い場合もあります。
アンケートによって、より精度の高い情報収集を行い、その情報を有効に利用するためにも、翻訳を依頼する際には調査目的をしっかり翻訳会社に伝えましょう。
※翻訳コーディネータに関してはこちらの記事をご参照ください。
翻訳会社のコーディネーターの重要性について
「翻訳の質を左右するのは、翻訳者の能力だ。」と思い込んでいませんか?本当にそうでしょうか? 翻訳会社が受注した翻訳案件は、複数の専門家によるいくつかの工程を経て完成し、納品されます。ある言語から別の言 ...
どんな方法のアンケートか?用紙?それともオンライン?
アンケートに協力してもらうために、いろいろな工夫が行われています。皆さんも経験があると思いますが、アンケートに答えると何かもらえる、と聞くと俄然やる気が出るものです。
全てのアンケートや調査で御礼を出すわけにはいきませんよね。そうなると、次はどんな方法が考えられるでしょう?
やはり、簡単で、手間をかけないで回答できること。
そうすることで、よりアンケートに協力してもらい易くなると考えられます。そこで最近多いのが、オンラインによるアンケートです。特にデジタルネイティブの世代には、調査票などの紙によるアンケートでは、まず協力してもらえません。
ただ一方で、特定の調査対象者に絞り込んで、丁寧に、詳しく回答してもらうタイプの調査では、まだまだ調査用紙でのアンケートが広く行われています。
どんな方法で行うアンケートかという情報も、質問文や選択回答を翻訳する上で考慮すべきものです。オンラインアンケートで注意したい点として、文の長さが挙げられます。
さらにアンケートに協力してもらい易くする工夫の一つに、ページデザインがあります。見やすい色づかいやレイアウトは、ストレスフリーでアンケートに協力してもらう上でとても重要。そのデザインに相応しい長さの質問文や選択回答とその配置も、見やすさの大切な要素になります。
もちろん、簡潔で分かり易い文であることが最優先ですが、全体のデザインにあった文の長さに揃えることも翻訳時に注意したいポイントです。では、紙の調査票ならそんなデザイン性は気にしなくていいのかというと、それも違います。印刷する上でやはり同じようにデザインやレイアウトが決まっているはずですから、それに見合う翻訳文であることが求められるはず。
アンケートの翻訳を翻訳会社に外注する際は、どんな方法で行うアンケートなのかという情報提供を忘れないようにして下さい。
まとめ
最後に、もう一つ。アンケートや調査票の翻訳を外注する時は、ぜひ今一度、和文の質問文や回答文を見直してみて下さい。
日本語の質問文がやけに長い、あるいは不明瞭で、読む人によって理解が異なるなどの状態では、良い翻訳はできませんし、翻訳されたアンケートから得られた結果の信頼性も少し疑わしいものになってしまうかもしれません。翻訳をする前に、しっかりアンケートや調査票の精度を高めることをお忘れなく。